
みなさん、2016年のアメリカで起きた「ピザゲート事件」を覚えていますか?ワシントンD.C.の平凡なピザ屋さんが、ネット上で信じられないほど不気味な噂に巻き込まれてしまったのです。その内容とは「この店がヒラリー・クリントンと関係する児童売買組織の拠点だ」というもの。もちろん全くの嘘なのですが、SNSを通じて瞬く間に拡散しました。
この嘘の噂を信じ込んだ男性が、なんと「自分で真相を確かめる」とライフルを手にピザ屋に押し入り、銃を発砲する事件にまで発展してしまいました。幸いけが人はいませんでしたが、これは「単なるネットの噂」がどれだけ現実社会を脅かすかを象徴する衝撃的な事件となりました。
今回はそんな恐ろしい「フェイクニュース」の正体と、なぜそれが作られるのかを深掘りしていきましょう。
フェイクニュースとは何か?
「フェイクニュース」とは、その名の通り「嘘のニュース」のこと。実際には事実ではない情報を、意図的に本物のニュースのように見せかけて拡散させることを言います。広告収入を狙ったクリックベイトや、特定の人物や団体を攻撃・非難する目的で使われることが多いですね。
ただ、「誤報」との違いも押さえておきましょう。「誤報」は、意図せず間違った情報が広まることで、悪意はありません。一方、フェイクニュースは「意図的に」嘘の情報を作り、広めようという明確な目的があるのです。
誰がフェイクニュースを作っているのか?
実際、フェイクニュースを作る人は多岐にわたります。広告収入目的でクリック数を稼ごうとする個人ブロガー、政治的意図を持つ団体、注目を浴びたい個人などです。特に政治的な目的が絡むケースでは、選挙や外交などで意図的に世論を操作するために使われることもあります。
例えば2016年アメリカ大統領選挙の時、マケドニアの若者が偽のニュースサイトを作り、広告収益を得ていたことが判明しています。また、外国政府が政治的不安を煽る目的で組織的にフェイクニュースを広げるケースも報告されています。SNS上では、自動化された「ボット」がフェイクニュースを大量に拡散する手法も横行しています。
フェイクニュースが作られる理由とは?
フェイクニュースが生まれる背景には主に以下のような理由があります。
- 政治的意図:特定の政党や候補者を支援・攻撃するため。
- 経済的動機:広告収入や株価操作など、経済的利益を狙って。
- 社会的要因:注目を浴びたい、話題になりたいという承認欲求。
- 心理的要因:既存の自分の考えや偏見を強めたい(確証バイアス)心理。
このように、単純な理由だけではなく、複合的で複雑な動機が絡み合っているのが特徴です。
フェイクニュースの効果とは?
実際、フェイクニュースの効果は想像以上に大きいものがあります。
まず、フェイクニュースは繰り返し拡散されることで「真実である」という錯覚を生み出します。これを心理学で「錯覚的真実効果」と呼び、人々はフェイクニュースを信じ込みやすくなるのです。
さらに、民主主義や選挙など社会の基盤となるプロセスにも影響を及ぼし、時には暴力的な行動や対立を引き起こすこともあります。また、医療分野では、根拠のない治療法や陰謀論が広がり、公衆衛生に深刻な問題を生じさせています。新型コロナウイルスやワクチンに関するデマが広がったのは、皆さんの記憶にも新しいでしょう。
フェイクニュースによる経済的被害
フェイクニュースの影響は、実は経済的にも深刻です。
2018年、不動産会社Farmland Partnersは偽の報告書が流れたことで、株価が40%以上暴落し、数千万ドルの損失を被りました。2022年には製薬大手イーライリリーが「インスリンを無料化する」という偽のツイートにより、株価が急落し、時価総額が220億ドルも失われました。
さらに2013年、ホワイトハウス爆発というデマによりS&P500指数が瞬間的に暴落し、約3,410億ドルもの損失が発生したこともあります。このように、フェイクニュースは金融市場を混乱させ、多額の経済損失を引き起こす原因にもなっています。
まとめ:フェイクニュースとどう向き合うべきか?
こうして見ると、フェイクニュースは私たちの社会の多方面にわたり、大きな影響を及ぼしています。経済的、政治的、社会的な混乱を生むだけでなく、時には人の命に関わることもあるのです。
私たちができることは、情報を鵜呑みにせず、必ず「事実確認」をする習慣をつけること。そしてSNSで安易に情報をシェアする前に一度立ち止まり、その情報の信頼性を検証することが非常に重要です。企業や政府、教育機関もフェイクニュース対策に力を入れていますが、何より個人一人一人が意識を高めていくことが最大の防御策となります。
このブログをきっかけに、ぜひみなさん自身が「賢い情報消費者」となっていきましょう。